ー耕された土地と未開の森の真ん中にある透明な藪を 落雷 焦げた草 静かな光ー(「落雷」より) 前作『夜と火』から9年振りとなる今作は、木を削るように、紙に線を引くように、ただ一人きりで歌った記録。声とギターだけで紡がれた32分は、言葉と言葉を結ぶ無数の線と、振動する弦が織りなす立体作品のようでもある。 6⼈組のインストバンドoono yuuki bandを主宰する傍ら、バンドとはうって変わってギターと歌だけのシンプルかつ深遠な演奏を続けてきたoono yuukiの9年振りとなるソロアルバムがついに発売されます。 2013年にバンド活動を休⽌したのち、⼀⼈で歌うことに次第に惹かれていった彼は2015年に初のソロ作『夜と⽕』を⾃主レーベルより発売した後も、友部正⼈、七尾旅⼈、折坂悠太、沢⽥ナオヤなどの敬愛するミュージシャン達との共演を経て、曲を作り続けてきました。中でも2018年に⾏ったTomo Nakayamaとのアメリカツアーで得た⾔葉や⾝体の感覚は、今作の中にも⾊濃く反映されています。 そして、その⾔葉や⾝体の感覚を、暖かくかつ冷静に切り取ったのは、録⾳エンジニア⽥辺⽞。今作では32bit float、オールモノラル録⾳という新たな試みが⾏われており、時に荒々しい弦の⾳も⽿に優しく、近くて⽣々しい声にも奥⾏きがあるという、今までにない⾳像が実現していると⾔えるでしょう。 ジャケットに使われた絵画は戦争をまたいで⽇本とフランスで活動を続けた画家末松正樹の作品。 バンド名義の前作『GREENISH BLUE,BLUISH GREEN』に引き続き岡⽥和奈佳によるデザインが⾳の世界とアートワークを丁寧に編み上げています。 たった⼀⼈で演奏された32分間の作品ですが、この作品は実際の⻑さよりも⻑くも短くも感じられます。 それは作中に出てくるたくさんの⾔葉と⾔葉が重なり合って新しいイメージを呼び覚まし、聞く⼈の⼼の中には新たな時間が⽣まれているからなのかもしれません。
1.光
2.池
3.落雷
4.本
5.夜
6.オーロラ
7.塔
8.雪
9.川
10.よあけ
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